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2022/03/17ペルチェ冷却霧箱の展示

仁科会館で新たに霧箱の展示を始めました!


霧箱(きりばこ)について

霧箱は放射線が通過した跡を「飛行機雲」として観察する装置です(この放射線の跡を専門用語で「飛跡」と言います)。仁科芳雄博士は霧箱を用いて、宇宙線(宇宙から地上に降り注ぐ放射線)の研究をしていました。
今回設置する霧箱は「ペルチェ素子」を用いた冷却を利用して、小型かつ長時間の連続運転が可能な新世代の霧箱です。一般向けの科学実験で良く用いられるドライアイス冷却式の簡易な霧箱に比べるとはるかに高性能で、アルファ線のみならずベータ線も捉えることができ、放射線源からの放射線だけでなく自然放射線や宇宙線の観察も可能です。くっきり見える飛跡がアルファ線もしくは宇宙線、弱い飛跡がベータ線になります。

ただし、この霧箱は観察面積が小さいため残念ながらアルファ線と宇宙線の区別ができません。大型の霧箱であれば、数cmしか飛跡を残さないアルファ線と長い飛跡として観察できる宇宙線の違いが分かります。長くてくっきりした宇宙線の飛跡はとてもきれいなので、ぜひ一度は科学館などに展示している大型霧箱も見てみてください。

放射線の正体と種類

放射線は顕微鏡でも見ることができないほど小さい粒子です。我々の身の回りを飛んでいる放射線もあり、自然放射線と呼ばれています。
放射線にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線、宇宙線などがあります。発見された当初は正体不明だったのでこのように名付けられましたが、その後の研究で正体が分かりました。アルファ線はヘリウム原子核、ベータ線は電子、ガンマ線は光子、宇宙線はミュー粒子です(正確にはニュートリノなどミュー粒子以外の宇宙線もありますが、霧箱でくっきり見えるのはミュー粒子です)。最も大きいヘリウム原子核でも直径は3.8×10-15mで、光学顕微鏡の分解能1×10-7mや電子顕微鏡の分解能1×10-10mよりはるかに小さい粒子です。

ペルチェ素子冷却とは

エタノールを過冷却して過飽和状態(放射線の「飛行機雲」が発生する状態)にするにはマイナス20℃以下に冷やす必要があります。この霧箱は、電気を流すと表面が冷却されるペルチェ素子(ぺルチェ効果は熱輸送なので、正確には片面が冷却され逆の面が加熱されます)を利用していて、ドライアイスや冷凍機は必要ありません。
ちなみに、仁科芳雄博士が実験で用いた霧箱では、断熱膨張を利用して冷却していました。

もっと詳しく知るには

この霧箱は大阪府立大学 研究推進機構 放射線研究センターの秋吉優史先生が開発しました。秋吉先生のホームページに、非常に詳しい解説があります。仁科会館に展示している霧箱はEX型です。秋吉先生のホームページではEX型で放射線を観察している動画も見ることができます。

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