2015年ノーベル物理学賞 特別展示のお知らせ


 2015年のノーベル物理学賞は「ニュートリノ質量の存在を示すニュートリノ振動の発見」で、梶田隆章教授とアーサー・マクドナルド教授が受賞しました。仁科会館では、1年間限定の特別展示として、ニュートリノ振動に関する解説パネルと光電子増倍管(光センサーの一種)を展示していましたが、2017年(平成29年)の仁科芳雄博士生誕日記念科学講演会に梶田教授をお招きしたことを記念して、引き続き特別展示を行います。

 特に、浜松ホトニクス製の「20インチ光電子増倍管」は、スーパーカミオカンデの前身であるカミオカンデで使われていた本物の検出器で、スーパーカミオカンデでも用いられています。

ニュートリノ振動とスーパーカミオカンデ

 かつてはニュートリノには質量(重さ)がないと考えられていました。梶田教授とマクドナルド教授はニュートリノ振動(ニュートリノが別のニュートリノに変わる現象)がおきていることを実験で確かめたのです。これはニュートリノに質量があることの証明になります。

20インチ光電子増倍管  大気ニュートリノは地球の上空で作られます。ニュートリノ振動がおきているとすれば、地球上空からのニュートリノと地球の裏側からのニュートリノの数に差がでるはずです(ニュートリノはほとんど物質と衝突しないので、地球を簡単に貫通します)。梶田教授はスーパーカミオカンデという巨大な実験施設で実際にその差があることを発見しました。

20インチ光電子増倍管

 スーパーカミオカンデでは微弱な光を検出するために、直径20インチ(50センチ)の光電子増倍管(フォトマル、PMT)という検出器を11,129本も使っています。このような巨大な光電子増倍管を作ることができるのは、世界でも浜松ホトニクスだけです。

 今回展示する20インチ光電子増倍管は、梶田教授の師匠でノーベル賞物理学者の小柴昌俊博士が仁科芳雄博士生誕日記念科学講演会で講演された2003年(平成15年)に、浜松ホトニクスから寄贈いただいたもので、カミオカンデで実際に使われていた本物の検出器です。