講 師
東京大学宇宙線研究所長・教授
梶田 隆章 博士
プロフィール
1959年、埼玉県東松山市生まれ。物理学者。東京大学特別栄誉教授、東京大学宇宙線研究所長。同研究所助手、助教授、教授を経て現職。岐阜県飛騨市の神岡鉱山の地下1000メートルに設置された実験装置「カミオカンデ」と「スーパーカミオカンデ」を使った実験に参加。「ニュートリノ質量の存在を示すニュートリノ振動の発見」により、2015年にノーベル物理学賞を受賞した。文化勲章等を受賞。現在は、それぞれ3kmの腕の長さを持つL字型のトンネルの中で建設中の、大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」のリーダーも務める。
講演概要
ニュートリノは観測することが難しく、近年までニュートリノには質量がないと思われていました。しかし、宇宙線と呼ばれる宇宙から飛来するエネルギーの高い粒子が大気中でつくるニュートリノを観測し、1998年ニュートリノの種類が飛行中に別な種類のニュートリノに変化するニュートリノ振動という現象が発見され、ニュートリノに小さい質量があることがわかりました。この観測は、岐阜県飛騨市神岡にあるスーパーカミオカンデという巨大な測定器を使ってなされました。本講演ではどのように姿を変えるニュートリノとニュートリノの小さい質量が発見されたのかについてお話しし、そしてその意義などにも触れたいと思います。