演題:加速器を用いた新元素探索の最前線
講師 : 森本 幸司(もりもと こうじ)先生
独立行政法人理化学研究所
仁科加速器研究センター
超重元素研究グループ
超重元素分析装置開発チーム
チームリーダー
講演概要
元素周期表が年々拡張されている事を御存じでしょうか?自然界に存在する元素は92番元素のウランまでですが、それ以上の元素は人工合成により生成および確認され、元素周期表の拡張がなされております。日本はこれまで、元素発見の歴史に名を残す事が出来ておりませんが、2004年に仁科研究室の末裔である理化学研究所仁科加速器研究センターにおいて、113番元素の発見に成功しました。この成果について、今まさに国際機関により審査が行われており、もし発見の認定がなされた場合には、日本が命名する初めての元素となります。現在私達は、さらに原子番号の大きな新元素を探索する実験の準備を進めております。本講演では、仁科加速器研究センターで行われている新元素探索実験のこれまでと、これからの展望について紹介します。
講演の様子
自然界には存在しない重い新元素を、加速器を用いて作る研究についてご講演いただきました。はじめに今までの新元素発見の歴史についての解説があり、日本でも仁科博士を含め過去何回か新元素発見のチャンスがあったものの、惜しくも逃してきたとのことでした。重い新元素を作るのになぜ加速器が必要か、寿命が1秒よりはるかに短い新元素を作った証拠をどうつかむのかについて説明があり、理化学研究所で113番元素を作った研究について説明がありました。2個作った後、3個目を作るまで7年間かかっていて、基礎研究の大変さを実感しました。現在119番、120番元素の発見に向けて研究が進行中とのことで、こちらも楽しみです。