演題:私たちはなぜ重いか -宇宙誕生・天地創造・万物創生、ヒッグス粒子から超重元素まで-
講師 : 延與 秀人(えんよ ひでと)先生
国立研究開発法人理化学研究所
仁科加速器研究センター
センター長
講演概要
仁科芳雄先生は1932 年に理化学研究所の主任研究員となり、日本で初めてのサイクロトロン型加速器を作りました。仁科先生が作った2台目のサイクロトロンは既に世界最高の加速能力を持っていました。それから80余年、日本は世界でも有数の加速器大国になっています。加速器が解き明かす様々な研究テーマの中から、宇宙創成以来の138億年の歴史を紐解く研究に言及したいと思います。「私たちはどうやってできたのだろう?」「私たちはなんで重いのだろう?」という疑問、すなわち「物質の起源」と「質量の起源」にかかわる疑問に、最新の研究成果を交えながら、分かりやすく答えたいと思います。
講演の様子
はじめに仁科博士が作製したサイクロトロン、そして仁科博士の夢を実現した仁科加速器研究センターのサイクロトロンについて紹介がありました。次に私たちの身の回りのものや私たち自身が何からできているかについてお話がありました。さらにその材料からどのように物質ができているのか、そしてどうやってできたのかについて、宇宙138億年の歴史や星の一生とからめて説明がありました。私たちの質量の起源については、「自発的対称性の破れ」という仕組みで2段階で質量を獲得するとのことでした。難しい概念を簡単な実験や身近な例えを駆使して解説した講演で、大変好評でした。