演題:元素の起源と変換
講師 : 櫻井 博儀(さくらい ひろよし)先生
国立研究開発法人理化学研究所
仁科加速器研究センター
櫻井RI物理研究室
主任研究員
講演概要
ニホニウム元素の発見や、原子核がとくに安定になる「魔法数」の発見など、世界最高性能の理研加速器施設「RIビームファクトリー」は、世界を驚かせる成果を次々と挙げています。私たちの身体を形づくり、また身の回りに存在している全ての物質は、ビッグバン以来の宇宙のさまざまな営みによってつくられた元素から成り立っています。本講演では宇宙において元素がいかにして生まれたかという謎の解明や、原子核の成り立ちの理解に向けた研究について、その歴史やRIビームファクトリーで行われた最近の成果に触れながら、わかりやすくお話しいたします。また、核廃棄物の軽減にむけた元素変換技術についてもその展望を紹介いたします。
講演の様子
元素の合成と変換について非常にかみ砕いた分かりやすいご講演でした。仁科博士について小学生の時に本を読んで知ったそうで、仁科博士は徹夜のプロで立ちながら寝ることができると書いてあったそうです。
まず、元素と原子、原子核について話をされ、元素の合成とは原子核の変換であるという説明がありました。水素とヘリウム以外の元素は星が作ったのですが、その中でも鉄より重い元素は星の最後である超新星爆発で大量に作られたそうです。そして、鉄より重い元素がどのようにできたのかが理研のRIビームファクトリー(RIBF)の実験でかなり分かってきたそうです。ですが、金やプラチナなどのとても重い元素の起源はまだ分かっておらず、RIBFを改造して今年から実験を始めるとのことです。最後に、核廃棄物を減らすための元素変換プロジェクトに参加し、RIBFで取り始めているデータについての話がありました。