理化学研究所里庄セミナー

第19回 理化学研究所里庄セミナー

  • 平成22年8月21日
  • 仁科会館
第19回 理化学研究所里庄セミナー
 仁科芳雄博士は、1918年(大正7年)理化学研究所へ研究生として入所し、ヨーロッパ留学を経て、帰国後も研究に没頭し、また、戦後日本の最も困難な時期に、理化学研究所の所長を務めるなど、その生涯を理化学研究所において物理学を中心とした基礎科学の振興に捧げられました。そして、その功績を認められて、昭和21年に戦後初の文化勲章を受章されました。
 理化学研究所里庄セミナーは、科学技術の進歩とその振興をはかるには、青少年に科学する心を育むとともに、企業において新しい技術に挑戦していく風土が醸成されることが重要であると考える仁科博士ゆかりの独立行政法人理化学研究所と科学振興仁科財団が協力して、最新の研究の動向や成果を披露して、産・官・学関係者に資することを願って、毎年8月に開催しています。

 今年は、博士の生誕120年記念事業として、特にお願いして、理化学研究所におけるサイクロトロンの責任者として仁科博士から数えて第5代目に当たり、昨秋まで仁科加速器研究センター所長を務められた矢野安重博士と、ELID研削法をひっさげて理研ベンチャーとして世界に打って出ている大森整博士をお迎えしました。

演題:仁科博士から理研RIビームファクトリーへ

矢野 安重先生
講師 : 矢野 安重(やの やすしげ)先生

独立行政法人理化学研究所 和光研究所
仁科加速器研究センター
特別顧問

講演概要

 日本の現代物理学の父といわれる仁科芳雄博士は、日本初となるサイクロトロンを完成させました。2機目のサイクロトロンは第2次世界大戦時にGHQにより東京湾に投棄されましたが、弟子たちにより3機目が完成、現在仁科博士の志を継いだ加速器が理研RIビームファクトリーで稼働しています。
 理研RIビームファクトリーとは、2007年に運転を開始した世界最高性能を誇る原子核加速器施設です。原子核物理学における加速器の発展の歩みをたどりながら、現代の加速器技術の到達点と社会への応用について理解を深めていただきます。

演題:人類の未来を創るELID(エリッド)研削法 -ピカピカな表面を削る-

大森 整先生
講師 : 大森 整(おおもり ひとし)先生

独立行政法人理化学研究所 和光研究所
基幹研究所 大森素形材工学研究室
主任研究員

講演概要

 私たちの生活には、表面をピカピカでつるつるに削って利用する部品が数多くあります。例えば望遠鏡やカメラ用のレンズ、レーザー用の反射鏡、PCや携帯の電子部品、工具や金型などです。これらにはさまざまな硬質材料が用いられていますが、理研では、こうした材料を早く超精密に加工する新技術:ELID(エリッド)研削法を発明しました。
 この技術は、研削に使用するダイヤモンド粒子を含んだ金属結合砥石の表面を、電気分解により金属部分だけを溶かし出し、常にダイヤモンド粒子を砥石表面に突出させることで、効果的に鏡面加工を実現する我が国独自の技術です。ELID(エリッド)研削法の原理や応用について、事例中心にご紹介します。

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