理化学研究所里庄セミナー

第21回 理化学研究所里庄セミナー

  • 平成24年8月18日
  • 仁科会館
第21回 理化学研究所里庄セミナー
 仁科芳雄博士は戦後日本の最も困難な時期に、理化学研究所の所長を務めるなど、その生涯を理化学研究所において物理学を中心とした基礎科学の振興に捧げられました。そして、その功績を認められて、昭和21年に戦後初の文化勲章を受章されました。
  理化学研究所里庄セミナーは、科学技術の進歩とその振興をはかり、青少年に科学する心を育むとともに、最新の研究動向や成果を仁科芳雄博士生誕の地岡山県里庄町「仁科会館」より発信しています。
  今年は脳科学総合研究センター 先端基盤技術研究コア脳数理研究チーム チームリーダーの甘利俊一博士と放射光科学総合研究センター 利用システム開発研究部門長の山本雅貴博士をお迎えし約110名の方が講演に耳を傾けました。

演題:脳、心、そして数理

甘利 俊一先生
講師 : 甘利 俊一(あまり しゅんいち)先生

独立行政法人理化学研究所
脳科学総合研究センター
先端基盤技術研究コア脳数理研究チーム
チームリーダー

講演概要

 脳は永年の進化の結果として生まれた、大変複雑なシステムです。これは、莫大な数のニューロンを結合した精密なもので、この世の驚異といえます。脳は情報を巧みに処理するだけではありません。それは心を宿し、これをもとに人類は文明社会を築きました。
 まずは、宇宙の起源から始めて、物質の法則、生命の法則、脳、そして心と文明が現れる様子を考えてみます。さらに、ニューロンからなる脳の働き、その分子の仕組みから、回路網、そして高次の脳の機能を調べるのです。心の働きはどのように生じたのでしょうか。
 脳の働きは、コンピューターとは異なる情報の原理に基づいています。その、原理を明らかにするのが私の研究している数理脳科学です。数理脳科学は何を明らかにするのか、それを展望します。

講演の様子

 脳は永年の進化の結果として生まれ、それは心を宿し、これをもとに人類は文明社会を築いたこと。さらに、専門分野の数理脳科学の展望、先生自身の研究人生を振り返りながら難解な演題を解り易くお話をしていただきました。

演題:夢の光 -Spring-8からSACLAへ-

山本 雅貴先生
講師 : 山本 雅貴(やまもと まさき)先生

独立行政法人理化学研究所
放射光科学総合研究センター
利用システム開発研究部門部 部門長

講演概要

 SPring-8は、世界最大の高輝度放射光施設として幅広い研究分野で多くの研究成果を挙げています。また、SPring-8に隣接した次世代X線光源としてX線自由電子レーザー施設SACLA (SPring-8 Angstrom Compact free electron Laser:さくら) の建設を進め、本年3月より供用を開始しました。SACLAはSPring-8のX線に比べて10億倍の明るさをもち、10兆分の1秒 (100フェムト秒) という極短パルスで完全に位相のそろったX線を創り出します。これにより、今まで見ることのできなかったフェムト秒領域という超高速での原子の振る舞いの観察が可能になります。この革新的なX線レーザーにより、ライフサイエンスやナノテクノロジーなど幅広い分野での研究の進展が見込まれています。本講演では、生命科学を中心にSPring-8とSACLAの切り拓く研究についてご紹介します。

講演の様子

 演題の“夢”の光は今や夢ではなく、現在進行形である。SPring-8とSACLAがもっているスペックを紹介し、人類の生活環境が変わるであろう今後の研究成果についてご講演をいただいました。

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