理化学研究所里庄セミナー

第23回 理化学研究所里庄セミナー

  • 平成26年8月16日
  • 仁科会館 仁科記念ホール
第23回 理化学研究所里庄セミナー
 仁科芳雄博士は、20世紀前半に活躍した岡山県里庄町出身の世界的な物理学者で、日本の原子物理学の父として尊敬されています。ヨーロッパで当時完成しつつあった現代物理学の基礎となる量子力学を研究し「クライン・仁科の公式」を導出しました。帰国後は理化学研究所で仁科研究室を主宰し、さらに戦後には理化学研究所の第4代所長を務めるなど、後進の育成にも大きな功績があります。

 理化学研究所里庄セミナーは、仁科芳雄博士ゆかりの理化学研究所の研究者を招聘し、世界最先端の研究を一般の方々になるべく分かりやすくご講演いただいています。平成4年にスタートし今年で23回目となりました。今年も約80名の方が来場し、講演に耳を傾けました。

演題:理研小型中性子源システムで見えた!日本の橋梁安心安全への道

大竹 淑恵先生
講師 : 大竹 淑恵(おおたけ よしえ)先生

独立行政法人理化学研究所
光量子工学研究領域
光量子技術基盤開発グループ
中性子ビーム技術開発チーム
チームリーダー

講演概要

 理研では長さ約15メートルの小型中性子源システムRANSを開発し、2013年世界初となる「異種鋼材塗膜下腐食および水の出入りの可視化に成功」しました。ところで国内にある橋梁の半数以上が2015年には建設後40年を超え、その半分以上が早急な補修が必要であると報告されていますが、橋梁などの分厚いコンクリート内部を非破壊観察できる手法がありません。そこで我々は透過力が強い中性子線による計測技術及び健全性診断、寿命予測診断を含めた小型中性子源統合システムの開発を行っており2014年3月には30センチ厚コンクリと鋼材や空隙、水の可視化にも成功しました。ものづくり現場で役に立ち、将来インフラ保守保全に資するシステム開発の現状と将来を紹介します。

講演の様子

 中性子を用いて橋を壊さずに検査するシステムについてご講演いただきました。中性子はX線と同様に物を壊さずに中に入っていく性質がありますが、X線では金属や骨など固い物が見えるのに対して、中性子では水を見ることができます。この性質を利用するとコンクリート中の鉄骨のサビ具合が分かるので橋の検査に有効です。さらにサビを検査することにとどまらず、シミュレーションと組み合わせることで橋がいつ壊れてしまうのか予測もできるようになるそうです。現在は長さ15mという大型な装置が必要ですが、今後数年でトラックで持ち運びできるよう装置を小型化していくとのことで、楽しみです。

演題:加速器を用いた新元素探索の最前線

森本 幸司先生
講師 : 森本 幸司(もりもと こうじ)先生

独立行政法人理化学研究所
仁科加速器研究センター
超重元素研究グループ
超重元素分析装置開発チーム
チームリーダー

講演概要

 元素周期表が年々拡張されている事を御存じでしょうか?自然界に存在する元素は92番元素のウランまでですが、それ以上の元素は人工合成により生成および確認され、元素周期表の拡張がなされております。日本はこれまで、元素発見の歴史に名を残す事が出来ておりませんが、2004年に仁科研究室の末裔である理化学研究所仁科加速器研究センターにおいて、113番元素の発見に成功しました。この成果について、今まさに国際機関により審査が行われており、もし発見の認定がなされた場合には、日本が命名する初めての元素となります。現在私達は、さらに原子番号の大きな新元素を探索する実験の準備を進めております。本講演では、仁科加速器研究センターで行われている新元素探索実験のこれまでと、これからの展望について紹介します。

講演の様子

 自然界には存在しない重い新元素を、加速器を用いて作る研究についてご講演いただきました。はじめに今までの新元素発見の歴史についての解説があり、日本でも仁科博士を含め過去何回か新元素発見のチャンスがあったものの、惜しくも逃してきたとのことでした。重い新元素を作るのになぜ加速器が必要か、寿命が1秒よりはるかに短い新元素を作った証拠をどうつかむのかについて説明があり、理化学研究所で113番元素を作った研究について説明がありました。2個作った後、3個目を作るまで7年間かかっていて、基礎研究の大変さを実感しました。現在119番、120番元素の発見に向けて研究が進行中とのことで、こちらも楽しみです。

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