平成20年8月23日(土)仁科会館にて

 仁科芳雄博士は、戦後の混乱期に財団法人理化学研究所第4代所長に就任しましたが、占領軍から理化学研究所解体の方針が出され、研究所は存続の危機を迎えました。博士の全力奔走により、理研発の技術の生産部門であった理研産業団(60余社)を切り離すことによって研究部門の存続にこぎ着けました。研究所は、財団法人から株式会社となり、博士は、渇ネ学研究所となり、初代社長に就任しまた。渇ネ学研究所はその後、特殊法人理化学研 究所を経て、独立行政法人理化学研究所となり今日に至っています。
 現在の理学研究所には、仁科博士のサイクロトロン研究を受け継ぐ「仁科加速器研究センター」が設けられるとともに、研究所の運営面でも、仁科博士の熱い思いが脈々と受け継がれています。
 里庄セミナーでは、物理学・生物科学・脳科学など、理研の各部門から2名の研究者のご来館を頂いておりますが、本年度は、仁科センター所属の若手研究者お二人から最前線の研究の一端をご披露いただきました。

 

講演1 
題目:
精密原子分光によるエキゾチックな原子核の研究

講師 
独立行政法人理化学研究所 
和光研究所基幹研究所
山崎原子物理研究室      

専任研究員  和田道治 博士

 

講演2
題目:原子核のチカラ:核力研究最前線“三体力”に迫る

講師 
独立行政法人理化学研究所 
和光研究所仁科加速器研究センター
本林重イオン原子核物理研究室 

センター研究員 関口仁子 博士

 

 会場には、中高校生60名はじめ若い世代を中心に一般市民の方が加わりホールいっぱいの120名の参加を頂きました。若い研究者お二人が、深い研究の内容を分かりやすく軽やかな語り口でお話しになり、それに頷きながら耳を傾ける高校生の皆さんの表情が大変印象的でした。短時間でしたが講演後の交流タイムも、研究生活の楽しみや素晴らしさが伝わる感動的なひとときとなりました。