仁科芳雄博士顕彰事業第29回
ロボットコンテスト2021
「ミッション:仁科五輪スタジアムを設営せよ!」
- ビデオ締切:令和3年10月31日(日)・ビデオ審査:令和3年11月6日(土)
「ロボットコンテスト2021」は、初の「ビデオ審査」での開催となりました。4月1日の競技規則公開の時点では、里庄中学校体育館での開催も視野に入れていましたが、コロナ禍の状況がみるみる悪化してしまい7月初めにビデオ審査での開催に決定しました。そのような状況にも関わらず、中学校から14校34チーム、高等学校から6校12チーム、合計20校46チームの参加を得ることができました。
今年のテーマは東京五輪開催にあわせて仁科五輪スタジアムの設営としました。新しい趣向としては、五輪に見立てた輪っかを回収し、所定の場所に引っ掛けて設置するという課題を設定しました。五輪の回収と設置の機構では各チーム様々な工夫が凝らされ非常にバラエティに富んでいて、ビデオを見ていて感心しました。
コロナ禍で課外活動・部活動が大幅に制限されてしまった状況の中で、ロボコンに参加してくれた生徒の皆さん、生徒をご指導いただいた中学校・高等学校の先生方、年の初めの企画から開催方式の変更への対応を経て長時間にわたるビデオ審査までお世話になりました審査委員の先生方、ありがとうございました。皆様の力でこのロボコンは支えられています。さらに、今年はマルセンスポーツ・文化振興財団から助成をいただき、助成申請時から開催方式を変更した際も助成継続をご快諾いただきました。深く感謝いたします。
審査委員長講評
審査委員長
岡山大学 教授 五福 明夫
世界的に蔓延が続く新型コロナウィルス感染症によりロボットコンテスト2020が中止となり、昨年末からの第3波、5月の連休前後の第4波、8月の第5波のために、本年も開催が危ぶまれましたが、参加校のご協力と関係各位の努力により、ビデオ審査という形でなんとか開催することが出来ました。中学校部門34台、高等学校部門12台の計46台の参加があり、これらのロボットのチームの皆さんやそれらのチームを支えて下さった中学校、高等学校の先生方に、まずはお礼申し上げます。また、異例の開催形式となり、至らない点も多数あったかと思いますが、ご容赦いただけましたら幸いです。
仁科独創賞を受賞された、桜が丘中学校の「マウンテンリバー」号、東岡山工業高校の「東工1」号を始めとして、各賞を受賞されたチームの皆さん、おめでとうございます。今回の大会は例年よりロボットのレベルが高かったとの印象でした。得点という客観的な指標が無いこともあって、審査員全員が一致して各賞に推薦したロボットは少なかった状況でした。岡山県にも非常事態宣言が発令されるという異常な事態の中で、ビデオ作成までを完遂したすべてのチームの皆さんがヒーロー/ヒロインと思います。登校やクラブ活動などが突然制限され、学校行事も時期の変更などもあって、ロボットの構想、設計、製作、操作練習の時間を確保することが大変だったと想像致します。その中で、ここまで完成度の高いロボットを作り上げたことは、皆さんを逞しくするとともに、この経験は将来きっと様々な場面で役立つと思います。
一昨年までのように「仁科ロボコンの甲子園」とも言える里庄中学校で大会を開催したいと最後まで考えてその実現を模索していましたが、今大会は最終的にビデオ審査となりました。これにより得点の計算と確認が困難となるために、得点賞の代わりに「ベストパフォーマンス賞」と「技術賞」を設けてアイテム操作の完成度を評価することとしました。また、「チャレンジ賞」を特別に設けてユニークなアイディアに基づく様々な挑戦を多く表彰出来るようにすることで、皆さんのモチベーションを維持してもらえるようにし、中学校部門10台、高等学校部門3台のロボットに授与致しました。
本大会がビデオ審査になったことにより、これまでの大会での審査と比べて良かったことがいくつかありました。まず、例年に比べてロボットの特徴や動作を詳細に把握できたことです。2分間以内のアピールビデオにより、皆さんのロボットの機構や動作をクローズアップして把握でき、それを意識した上で3分間の競技ビデオを見ることができました。これにより、どのような意図でロボットを作ろうとしたかの理解が深まり、競技ビデオを見ている時には皆さんのチームの一員のような感覚で、アピールポイントの機構が動作するようにと手に汗を握ることもしばしばありました。また、アピールビデオの説明ではチームのキャラクターが現れて微笑ましくも思いましたし、名前の由来を説明するなど皆さんのこだわりやロボットへの思いも伝わってきました。それから、放課後の学校の雰囲気も分かり、自分自身の中高時代も思い出されてノスタルジックな気分にもなりました。
本大会は里庄町からの「必ずロボコンは実施する」との強い意思表明を早いうちにいただき、そのための強力なご支援をいただけたことは、審査員団として非常に有り難かったです。最後になりましたが、里庄町とその教育委員会にはこの場をお借りして感謝申し上げます。