仁科芳雄博士顕彰事業第31回
ロボットコンテスト2023
「未来都市を創造せよ!」
- 令和5年8月27日(日)
- 里庄町立里庄中学校体育館
ここ数年の「ロボットコンテスト」は新型コロナウイルス感染症蔓延の影響を受け、2020年は中止となってしまい、2021年と2022年は「ビデオ審査」として開催しましたが、ようやく今年は通常通り会場で開催することができました。
今年は、中学校から16校34チーム、高等学校から4校5チーム、合計20校39チームの参加をいただきました。今年のテーマは「未来都市を創造せよ!」で、ドローンや電波塔や太陽光発電所などの部品に見立てたアイテムを運んで設置してもらいました。
参加してくれた生徒の皆さん、生徒をご指導いただき大会運営にも携わっていただいた中学校・高等学校の先生方、年の初めの企画から長きに渡ってお世話になりました審査員の先生方、そして準備や片づけを担当していただいた多くの方々、皆様の力でこのロボコンは支えられています。深く感謝いたします。
審査委員長講評
審査委員長
岡山県立大学 副学長 五福 明夫
皆さん、お疲れ様でした。4年ぶりの里庄中学校での開催となりましたが、創意工夫されたロボットの機構や動きを楽しく審査させていただきました。一昨年と昨年実施しましたビデオ審査ではロボットのアピール点や詳細な機構はじっくりと審査できましたが、やはり実際に動くロボットを目の前に見ることは、迫力もあり選手の緊張感や高揚感が伝わってきて、こちらも手に力が入りました。4年ぶりということで、当日の運営において大きなトラブルが出ないかと心配しましたが、2つほど小さなミスはありましたが、何とか無事に終えることができてホッとしております。まずは、大会の運営において大変お世話になりました仁科会館をはじめとする里庄町の皆様に感謝いたします。また、大会の運営においては、参加の中学校および高等学校の先生方の献身的なご協力にお礼申し上げます。さらに、最後まで暖かく応援いただきました観客の皆様にも感謝申し上げます。
4年前と比べますと変わらない部分と変わった部分がありました。変わらない部分は、生徒さんのロボットの製作や操作に対する熱意や努力と、先生方の献身さです。変わった部分は2点あり、一つ目は会場の里庄中学校の体育館に冷房が入ったことです。2019年の大会までは残暑厳しい時期の蒸し暑い厳しいコンディションの中での大会でしたが、今年は館内冷房により体力や集中力の維持が多少やり易かったと思います。もう一つは、女子生徒の参加が増えたことです。今後ロボットが社会の中で身近な存在となると予想されますので、女性の視点からのロボット技術開発へのアイデアは重要です。この分野での今後の女性の活躍を期待するところです。
本大会で優勝されました、里庄中学校の「カニキング」、おかやま山陽高等学校の「おかやま山陽1号」の皆さん、優勝おめでとうございます。また、惜しくも優勝を逃したり、途中で敗退したチームの皆さん、残念で悔しいと思いますが、何かが足りなかったと思います。何が足りなかったかを振り返って、それを糧に今後成長していただきたいと思います。
ここで、得点賞以外の各種の賞を受賞したロボットの評価した点を記しておきます。仁科独創賞では、里庄中学校の「海鮮丼」は、1つのスライド機構でドローンの積み木と輪をそれぞれ2機分同時に運び電波塔の積み木を斜めに積む機構が素晴らしかったですし、水島工業高校の「水工電気工作1号」は、多種類のアイテムを操作する精度良い機構を装備していたことを評価しました。また、アイディア賞では、総社西中学校の「ロボシンドローム」は、料理用の「お玉」をアイテム取得に応用しその操作も優れていたことが素晴らしいですし、岡山操山中学校の「attirant」は、取得した積み木をゴールに配置し易くするためにロボット内で移動させる機構を組み込んでいたこと、矢掛中学校の「犬」は、頭と尻尾にあたるアームが前後に開いてロボットが倒れないようにバランスさせていたことを評価しました。一方、チャレンジ賞では、里庄中学校の「Woodキャッチ」は、小型マイコンボードArduinoを用いて制御システムを構成して操作性を高める挑戦を行っていましたし、久世中学校の「まにぞう29号」は、長いアームを製作してその巧みな操作によりドローンを完成させたこと、総社東中学校の「風神」は、ロボットの回転移動動作を重視してオムニホイールの配置を工夫していたこと、矢掛中学校の「GIRAFFE」は、首に見立てた長いアームを備え、上下にアイテムを挟む機構でアイテム把持にチャレンジしたこと、水島工業学校の「I科ZENTA君」は、多種類のアイテム操作機構を装備してアイテム操作に挑んでいたことを評価しました。
さて、中学校や高等学校での課外活動のあり方も変わってきていると聞いています。その動向も踏まえながら、来年の大会も本大会以上に盛り上がるように、競技テーマや競技規則などを検討していきたいと思います。
最後になりましたが、今年度の大会に参加した生徒さんが本ロボットコンテストへの参加経験を生かして、勉強の上でも人間的にも成長して欲しいと思います。また、生徒さんのご指導にいつもご尽力いただいている先生方や関係各位の益々のご発展を祈念しております。来年の大会でも、溢れるアイデアを具現化した多数のロボットと出会えることを楽しみにしております。