![]() 森田浩介博士(左)と延與秀人博士(右) |
講師:森田 浩介 (もりた こうすけ) 先生 演題:「アジア初、日本発の新元素『ニホニウム』」 地元の中学生及び一般聴講者約500名を前にご講演いただきました。 講演概要 |
講演の様子 森田先生の講演の前に、理研仁科加速器研究センター長の延與秀人(えんよひでと)先生が「宇宙歴138億年にわたる元素創生」と題してご講演くださいました。宇宙がどのように元素を作ったかについて、そして人類が加速器という実験装置で再現していることについて、大変分かりやすくご説明くださいました。 加速器には3種類あり、そのうち2種類は理研が世界一の装置を持っているそうです。その理由は仁科芳雄博士が理研で始めた研究を現在まで引き継いでいるからということです。そして、森田博士の元素合成はこの世界一の加速器を使い、「東京から富士山の頂上のグリーンにパターで入れる感じ」というくらいに難しい実験を成し遂げたということです。 延與先生のお話の後、森田先生のご講演が「キターーーーーー!」というスライドから始まり、あちこちから笑いが起きていました。ですが、話が進むにつれてこの言葉が本当に実感に満ちた言葉であることが分かってきました。 「113番元素(ニホニウム)」を作るためには「30 + 83 = 113」という足し算ができれば良い、つまり「30番元素(亜鉛)」と「83番元素(ビスマス)」を合成すれば良いということでした。足して113となる組み合わせの中で掛けて一番小さいものが良いのですが、世の中に存在する元素を使う必要があるので亜鉛とビスマスを選んだそうです。 世界で最初に113番元素を合成するために、すべての実験装置を世界一にしたそうです。この実験はとても難しく森田先生は3回成功しましたが、それは400兆回ぶつけ続けた結果であり9年間かかったそうです。「目が200個あるサイコロを毎日振って、1が出るのを待ち続けるようなものだ」と語っていました。 科学の魅力はまだ誰も知らないことを見つけること、一度始めるとやみつきになるほどとても楽しいので一緒にやりましょうと、中学生たちにメッセージを贈ってくださいました。そして次に新しい元素を発見したら仁科博士の名前をつけたいとのことで、今後の研究も大変楽しみにしています。 |
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