理化学研究所
バイオリソース研究センター
細胞材料開発室 室長
創薬iPS細胞研究基盤ユニット ユニットリーダー
中村 幸夫(なかむら ゆきお)先生
新潟大学医学部卒業。信州大学医学部、自治医科大学で医師として勤務した後、理化学研究所にて基礎研究を開始。その後、筑波大学医学部基礎医学系講師、オーストラリアWalter and Elisa Hall Institute研究員を経て、現職に着任。
演題細胞培養研究の歴史と細胞イノベーション
私達の体は細胞の集合体です。私達が呼吸をし、心臓を拍動させ、毎日食事を摂ることによって、体の中の細胞の一個一個が生きています。この細胞を、体の外に出して生かしておこう、さらには増やそう、という研究が約100年前にあり、人類は細胞を「培養する」という方法を確立しました。ヒト癌細胞株、胚性幹細胞株等は、細胞培養研究史における金字塔です。2012年にノーベル賞を受賞したことで多くの人が知っているiPS細胞作製技術は、今世紀最初の、そしてもしかすると今世紀最大の細胞培養研究史における金字塔です。講演では、こうした細胞培養の歴史を紹介し、現在では細胞培養技術がどのような研究や医学応用へと発展しているのかをご紹介します。
1952年に世界で最初に作製されたヒト癌細胞株。子宮頸癌由来細胞株であり、名称はHeLaという。今でも広範な生命科学研究に汎用されている。