新種の桜

新種の桜「仁科蔵王」の枝分け、「仁科春果」と「仁科小町」の植樹

平成27年1月27日

 理化学研究所(理研)JFC石井農場が平成19年に共同開発し仁科芳雄博士生家に植樹した桜「仁科蔵王」の枝分け作業などのため、JFC石井農場の石井重久さんが生家などをご訪問されました。

 

 石井さんは理研仁科加速器研究センター応用研究開発室生物照射チームの阿部知子チームリーダーとともに、「仁科蔵王」を初めとする新種の桜を開発しています。里庄町には平成20年に理研から寄贈された「仁科蔵王」が、仁科芳雄博士生家、仁科会館、つばきの丘運動公園の3箇所に植樹されており、中でも生家の木が最も良い状態で3メートルほどに育っています。仁科博士にちなんで名づけられた「仁科蔵王」が仁科博士の生家で最も元気に育っていることに何か不思議な縁を感じます。その一方で、山形県にあった「仁科蔵王」の原木が枯れてしまったため、石井さんから枝分けの依頼がありました。1月27日に生家を訪れた石井さんは長さ60cmほどの枝を5本切り取りました。この枝を現在は静岡に移転したJFC石井農場で接木して育てるとのことです。

 

 また、枝分けのお礼として、石井さんから平成24年に開発された「仁科春果」「仁科小町」を3本ずつ寄贈いただきました。これらの桜は、仁科会館、里庄町立図書館つばきの丘運動公園にそれぞれ植樹されました。植樹されたばかりにも関わらず、今年の春にはもう花が咲くかもしれないとのことです。これで仁科会館には「仁科蔵王」「仁科乙女」「仁科春果」「仁科小町」の4種類の桜すべてが植樹されていることになります。

品種 仁科蔵王 仁科乙女 仁科春果 仁科小町
  仁科蔵王 仁科乙女 仁科春果 仁科小町
開発年 平成19年 平成21年 平成24年 平成24年
里庄町植樹 平成20年
令和2年
平成22年 平成27年 平成27年
令和2年
特徴 淡い黄色の花 春と秋の二期咲き 花と実が大きい ぼんぼり咲き
里庄町
植樹場所
仁科芳雄博士生家
仁科会館
つばきの丘運動公園
浜中南の素戔嗚神社
里庄歴史民俗資料館
里庄東公民館
里庄西小学校
里庄西幼稚園
仁科芳雄博士生家
仁科会館
つばきの丘運動公園
仁科会館
つばきの丘運動公園
仁科会館
つばきの丘運動公園
浜中南の素戔嗚神社

 「仁科蔵王」「仁科乙女」「仁科春果」「仁科小町」は理化学研究所仁科加速器研究センターの加速器「リングサイクロトロン」を用いて開発されています。「リングサイクロトロン」から発生する重イオンビームを桜の枝に照射して、突然変異させることで新種の桜が作られています。重イオンビームは狙った場所に細く絞り込む事ができるので、他の突然変異を起こす技術より短い期間で新品種の開発ができます。

 

 「サイクロトロン」は昭和12年に仁科博士が原子物理学の研究のために日本で初めて作った実験装置で、これが新種の桜に仁科博士の名前を冠する理由です。

 

 サイクロトロンによる桜の新品種の開発についてさらに詳しい話は理研による解説「新種のサクラ」をご覧下さい。

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