仁科芳雄博士顕彰事業第30回
ロボットコンテスト2022
「ゴミの山?分ければ資源!」
- ビデオ締切:令和4年9月7日(水)・ビデオ審査:令和4年9月17日(土)
「ロボットコンテスト2022」は、コロナ禍のため昨年に引き続き「ビデオ審査」での開催となりました。そのような状況にも関わらず、中学校から14校34チーム、高等学校から6校8チーム、合計20校42チームのご参加をいただきました。ありがとうございました。
今年のテーマは「ゴミの山?分ければ資源!」としました。久しぶりにピン球をアイテムに採用しましたが、各チームとも思った以上に上手に運んでいて、ビデオを見ていて感心しました。
課外活動・部活動が大幅に制限されてしまった状況の中で、ロボコンに参加してくれた生徒の皆さん、生徒をご指導いただいた中学校・高等学校の先生方、年の初めの企画から長時間にわたるビデオ審査までお世話になりました審査委員の先生方、皆様の力でこのロボコンは支えられています。深く感謝いたします。
審査委員長講評
審査委員長
岡山大学 教授 五福 明夫
本年も昨年と同様にビデオ審査となりましたが、様々なアイデアに基づいて製作されたロボットの機構や動作をビデオで楽しく審査させていただきました。また、5月に選考会がありましたポスター審査においても、素晴らしい出来映えのポスターが多数応募されており、生徒さんの感性と才能を感じました。昨年と同様に新型コロナウィルス感染症により活動が制限された中でのロボット製作や操作練習となったチームも多かったようです。困難な時期においてビデオ製作までやり遂げた参加者全員に拍手を送ります。
今回のロボコンのテーマは「ゴミの山?分ければ資源!」に設定し、新たなアイテムとしてピン球を入れて、重さや形状の異なるアイテムを如何にうまく分別してゴールに置くかに注目していました。全体的にはピン球の確実なハンドリングへの挑戦が多かった印象ですが、昨年導入した輪投げの輪や従来からの積み木の操作への新たなアイデアや機構もありました。
仁科独創賞に輝きました里庄中学校「ファーストリング」、東岡山工業高等学校「東工1号」のチームの皆さん、おめでとうございます。ピン球や輪をうまくハンドリングするロボットが相当あった中で、確実性や操作時間も考慮した素晴らしいアイデアとそれを形にした設計・製作に加えて、時間をかけた練習の成果と思います。以下に、仁科独創賞、ベストパフォーマンス賞、アイディア賞、および、技術賞に輝きましたロボットそれぞれの選考理由を簡単に説明致します。なお、チャレンジ賞や選外のロボットにもキラリと光るアイデアの芽があったことを記しておきます。この芽をもう少し育ててロボットの動きに繋がっていればと感じました。
仁科独創賞の里庄中学校「ファーストリング」は、アイテム操作のために多数の完成度の高い機構を有し、試技における操作も良く、アイテムを正確に分別できていたことを評価しました。また、東岡山工業高等学校「東工1号」は、ブロック、ピン球、輪を取り、それをゴールに置く安定した機構が備わっていたことが評価されました。ベストパフォーマンス賞については、里庄中学校「MEGAサーモ」はロボットの動きが良く、ピン球および輪を全てゴールに運び、青色ブロックと緑色ブロックをゴールに置くことができており、おかやま山陽高等学校「山陽2号」はピン球と輪を着実にゴールに運び、ブロックも相当数をゴール(資源ヤード)に運ぶことができ、優秀なパフォーマンスを示していました。アイデア賞については、里庄中学校「奇案機」はピン球を櫛状の棒で一気にすくい取り、磁石を利用して有害物コンテナに確実に入れる機構にアイデアがあり、矢掛中学校「オオクワガタ」は2台のモータで6本の足を動かしてオオクワガタの動きを再現しており、拝むようにアイテムを持つのもお茶目でありました。また、倉敷市立工業高等学校の「倉敷市工情技A」は床面の凹凸を吸収して安定して走行するサスペンション機構を備え、ラジコンの採用によりコード処理の煩わしさを解消していた点にアイデアとセンスを感じました。また、技術賞については、倉敷西中学校「トライピオ」はその場で安定して旋回する本体により、効率よいアイテム操作を実現していましたし、鴨方中学校「ジェットジャガー」は素晴らしいチームワークによりロボットを巧みに操作して多数のアイテムをゴールに運べていました。笠岡工業高等学校「リサイクラーII改」は吸引式のピン球取得機構に加えて輪を瞬間的にとる仕組みが素晴らしかったです。
選手の皆さんはロボットの構想や製作、また、操縦練習において大変な努力をされたと思います。特にコロナ禍にあって計画的に進められない困難もあったと思います。人間は苦労や悔しい思いが多いほど成長すると思います。是非、ビデオ撮影までの活動を振り返って、良かった点や改善点について文章で残しておいて下さい。同じ悔しい思いをしないためにも重要ですし、何年か経った時にそれを読むことで、自身の成長を実感できると思います。
最後になりましたが、科学振興仁科財団および里庄町教育委員会にはロボコン2022を主催いただきありがとうございました。特に、科学振興仁科財団の皆様には、アイテムの準備と参加学校への貸し出し、さらには、提出されたビデオの整理など、多くの仕事をしていただきましたことに感謝致します。また、ビデオ審査という形式での開催でしたが、沢山の方々のご支援により本大会は運営・開催されました。特に、参加学校の先生方には、様々な手続きやロボット製作とビデオの作成で生徒達を暖かくご支援いただきましたことにお礼申し上げます。ビデオ審査にもロボットの特徴やチームの雰囲気が分かるなどの良い点はありますが、一発勝負の緊張感と熱気は競技会の醍醐味です。来年こそは競技会としての開催を切に願っています。