理化学研究所仁科加速器研究センターの森田浩介博士を中心とする研究グループが発見した「113番元素」が、国際機関により新元素であると認定されました。森田博士の研究グループはこの元素を「ニホニウム」(元素記号 Nh)と命名することを提案し、平成28年11月30日に正式に元素名が決定しました。元素周期表に日本が名前を付けた元素が初めて載ることになったのです。仁科芳雄博士が惜しくも果たせなかった新元素の発見が、仁科研究室の流れをくむ仁科加速器研究センターで成し遂げられました!
仁科芳雄博士は日本で初めて「加速器」(原子物理学の実験装置)の一種である「サイクロトロン」を作りました。今回の発見は、仁科研究室に始まる理研の加速器研究の伝統を受け継いだ仁科加速器研究センターによる成果です。
ニホニウムのようなとても重い元素は自然界には存在せず、軽い元素同士を融合させて人工的に作ります。元素同士の融合には、光速の10%程度の速度に元素を加速する必要があるので、加速器を用います。
仁科会館では新元素「ニホニウム」に関する特別展示(期間限定、平成29年2年から1年間の予定)を、1階の展示ホールで行っています。この特別展示は、平成28年の特別展示「113番元素の命名権獲得」を発展させたものです。
新たな展示として以下の2枚のパネルを追加しました。
・ニホニウム命名記念ポスター (理研作成)
・「113番新元素手ぬぐい」とその説明
仁科会館に特別展示中の「113番新元素手ぬぐい」は第24回仁科芳雄博士生誕日記念科学講演会で森田博士が頭に巻いたものです。手ぬぐいは理研グッズとして販売されています。
昨年の特別展示から引き続き、以下の3枚の展示パネルを展示しています。
・113番元素の命名権獲得
・新元素113番の発見:平成17年度仁科記念賞受賞 (理研仁科センター作成)
・加速器を用いた新元素探索の最前線 (理研仁科センター作成)
「113番元素の命名権獲得」は、平成27年12月に113番元素の名前を付ける権利を得たニュースについて要点をまとめています。「新元素113番の発見:平成17年度仁科記念賞受賞」からは1個目の113番元素を見つけた当時の様子が伝わり、「加速器を用いた新元素探索の最前線」(平成26年に森本幸司博士が作成)では今回の新元素発見の決定打となった3個目の113番元素の合成や、さらに重い元素の探索など最先端の研究が紹介されています。
公益財団法人科学振興仁科財団が主催する科学講演会(理化学研究所里庄セミナー、仁科芳雄博士生誕日記念科学講演会)で行われた「ニホニウム」に関する講演を以下にまとめます。研究グループリーダーの森田浩介博士と113番元素のデータを最初に発見した森本幸司博士による講演です。
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ニホニウム(113番元素)についてもっと詳しく知りたい方は、理化学研究所によるお楽しみコンテンツ「113番元素」をご覧ください。このコンテンツにあるマンガ「113 ~新元素発見に至る20年の戦い~」は森田浩介博士が主役ですが、それだけではなく冒頭に仁科芳雄博士が、そして79ページから森本幸司博士も登場しています。また、仁科加速器研究センターによる「113番元素特設サイト」では、113番元素についてビジュアル豊かに詳しく解説されていますので、あわせてご覧ください。